2022.03.22

基礎知識

法被の柄の意味を知ってる?定番柄に込められた願いや背景を解説

法被の柄の意味を知ってる?定番柄に込められた願いや背景を解説

法被の柄にはそれぞれに固有の意味があります。柄に込められた意味は、たとえば
「繁栄」「団結」「平和」などです。柄の意味は、柄が生まれた背景や歴史と深く関わっている
ものといえるでしょう。本記事では法被の柄の種類と柄に込められた意味を解説します。

法被の柄の基礎知識

法被のデザインはシンプルですが、法被独特の柄のついているものがたくさんあります。人気の柄の多く
には、それぞれ固有の意味が込められているのです。
法被の柄の意味を知ったうえで着こなすのが、粋ともいえるでしょう。ここでは、法被の柄の基本的な
知識を説明します。

法被の柄には意味がある

伝統的な法被の柄には、それぞれ固有の意味があるのが一般的です。法被の柄は大きくわけると、
日本古来の柄と中国やペルシャなど海外から伝わったものなどがあり、それぞれに歴史的な背景と
意味があります。
もともと法被は江戸時代に武士の羽織物として広まり、のちに町火消しや職人の作業衣として広まった後、
さらに祭りで着用されるようになった経緯があります。特別なシチュエーションで身につけるもので
あるだけに、意味を知って着ることで気持ちも高まるでしょう。

法被の柄は腰柄と総柄に分かれる

法被の柄は大きく腰柄と総柄の2つに分けることができます。腰柄は背中からお腹の前のところまで、腰の
まわりをほぼ一周するように描かれている柄です。市松模様や吉原つなぎ、青海波(せいがいは)などが
あります。
総柄とは、法被全体に柄が入っているもののことです。スケール感のあるダイナミックなデザインが
可能になるため、火消しや祭りなどで好まれる柄といえるでしょう。
代表的な総柄は紗綾形(さやがた)、桜などです。なお青海波は総柄でもよく使われています。

法被の5つの定番柄の意味

法被の柄はたくさんありますが、ここでは特に人気の高い柄について解説します。以下の5つの柄です。

  • 市松模様(いちまつもよう)
  • 吉原(よしわら)つなぎ
  • 青海波(せいがいは)
  • 紗綾形(さやがた)

柄の意味は、その柄が生まれた背景や経緯と深く関わっています。意味とともに歴史を知ることで、
さらに法被への愛着がわくでしょう。

1.市松模様(いちまつもよう)は「繁栄」

市松模様はもともと、格子柄状の模様が石畳に似ていたことから「石畳」と呼ばれていました。しかし、
江戸時代の歌舞伎役者である初代佐野川市松が、舞台ではいていた袴の模様であったことから流行し、
市松模様と名付けられたのが始まりとされています。
市松模様が途切れることなくずっと続いていることから、「繁栄」の意味が込められているとされており、
子孫繁栄や事業の繁栄など縁起のいい柄として多くの人に好まれるようになりました。

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2.吉原(よしわら)つなぎは「団結」

吉原つなぎは鎖状の模様が規則正しく並んでいる柄です。別名で「郭繋(くるわつなぎ)」
とも呼ばれています。
もともとは、手引き茶屋の暖簾にこの模様が描かれていたことと、吉原の遊郭に入ると鎖に繋がれたように
抜けられないことにちなんだ名前でした。
しかし、現在では人と人とをしっかり結ぶ「団結」を意味する模様として好まれています。
そのため、チームや応援団など「団結」を重視する人たちがまとう法被の柄としても人気です。
法被以外にも手ぬぐい・暖簾・浴衣などでも使われています。

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3.青海波(せいがいは)は.「平和」

青海波の柄の発祥は古代ペルシャとされています。
シルクロードによって中国に伝わり、その後、飛鳥時代に日本に伝わりました。
平安時代に書かれた源氏物語の中でもこの「青海波」という言葉が、雅楽の
装束の模様として登場しています。
青海波はどこまでも広がる波を連想させる模様であることから、
「いつまでも続く平和な暮らし」という意味があるとされており、身につけると縁起がいい柄
として好まれるようになりました。
また、波の形が末広がりの扇形に似ていることから、おめでたい柄としても着用されています。

4.紗綾形(さやがた)は「不断長久」

紗綾形はもともと、中国の明から日本へ輸入された紗綾という名前の絹織物に使われた文様で、日本では
桃山時代の頃から染め物の模様として使用されていました。「卍」の形をした柄が続いていることから、
「卍崩し文様」とも呼ばれています。
「卍」は仏教用語では「宇宙」「無限」という意味があることから、紗綾形も「絶えることなく長く続く、
不断長久」という意味があるのです。
祭りに着る法被にも使用されるようになり、子孫繁栄、長寿などに通じる縁起のいい柄として人気があります。

5.桜は「五穀豊穣」

桜の柄は「五穀豊穣」を意味します。もともと桜の「サ」は「田の神」を表し、「クラ」は「神のいる場所」
を表しており、「五穀豊穣」の象徴とされてきました。また、春にはたくさんの花が咲くことから、
桜は「縁起良き物事の始まり」との意味もあります。
桜は春の訪れを告げる花として親しまれてきたこともあり、人気の柄です。桜の花の柄のほかに、
桜吹雪をあしらったデザインも人気があります。

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背紋や衿や帯にも意味を込められる

 

法被は腰柄と総柄以外にも、背紋や衿や帯にも意味を込めることができます。背紋は同じ法被を着用して
いる人たちとの仲間の絆を意味するものです。
同じ組織、会社、団体などに所属している証として、名前やマークを入れられます。
衿の部分にも組織名や名前を入れられるため、法被をオーダーする際に入れる文字を指定して注文すると
いいでしょう。
法被の帯にも意味を込めることができます。たとえば、「独鈷(どっこ)」と「華皿(はなざら)」を
モチーフにした「独鈷華皿(どっこはなざら)」の意味は魔除けや厄除けです。
太い縞模様と細い縞模様を組み合わせた「両子持縞(りょうこもちじま)」や
「中子持縞(なかこもちじま)」には「家内繁盛」の意味があります。

まとめ

伝統的な法被の柄には意味があります。法被の柄には日本古来のもの、中国やペルシャから伝わったもの
などがあり、それぞれの柄の意味と柄が生まれた歴史的な経緯とが密接な関わりを持っていることが
多いと言えるでしょう。
法被の柄は「繁栄」「団結」「平和」など、どれも縁起の良いものばかりです。
法被の柄の意味を知ったうえで着ると、法被を着る楽しさや愛着も増すでしょう。