2022.03.10

基礎知識

法被の由来を知ってる?種類や半纏との違いを解説します

法被の由来を知ってる?種類や半纏との違いを解説します

祭りや文化祭などの行事で着用される伝統的な衣装が、法被(はっぴ)です。しかし、法被の名前の由来を
知らない方も多いでしょう。
そこで今回は、法被の名前の由来についてご紹介します。法被の種類や半纏の違いもご紹介するため、
ぜひ参考にしてください。

法被の名前の由来

祭りやイベントなどで着用される法被の由来は、皇族や公家の正装である束帯を着るときの下着が名前の
由来になったといわれています。元来は「はんぴ」でしたが、時代の流れとともに変化して「はっぴ」と
いう発音になりました。
また、法被の字は、高僧が座る椅子の背もたれにかける布のことを指しており、衣服とはまったく関係
ないことから、当て字で付けられた感じだといわれています。

法被の歴史 

 

現代でも祭りやイベントなどあらゆる場面で着用される法被ですが、その歴史を知らない方も多いで
しょう。そもそも法被は江戸時代に誕生したもので、高い身分しか着用されていませんでした。
しかし、その後一般庶民の間でも法被が広く普及し、現代のスタイルが確立されたといわれています。
ここでは、法被の歴史を確認していきましょう。

江戸時代は身分の高い武家のみが着用

法被が誕生したのは、江戸時代初期までさかのぼります。ただ当時は一般的に着用されていたわけで
はなく、身分が高い武家のみが着用していました。
しかし、現代の着方とは異なり、胸紐が付いた単(ひとえ)に襟を返して羽織のように着ていたのが特徴
です。身分が高い武家しか法被を着用しなかったのは、身分の差を明確に示すためだといわれています。

一般庶民の間で新しいスタイルが確立

江戸時代後期は、身分が高い武家の間で法被が着用されていました。この頃の法被は衿を返して
着用する羽織のようなものだったようです。一方で、法被は一般庶民の間でも関心を持たれており、
着用したいと考える人も多くいたといわれています。しかし、身分の差を明確にするために江戸幕府は、
贅沢品を禁止する名目で一般庶民の着用を禁止しました。この禁止令が出された結果、一般庶民は高級品と
扱われていた衿付きの羽織を着用できなくなったため、法被への関心が高まったのです。
ただ、法被は武家でしか着用を許されません。そのため、本来、衿を折り返して着用する法被の襟を
折り返さないといった法の網をくぐり抜ける形で、新しい着こなしを楽しむ一般庶民が増えました。
その後、一般庶民の間で衿を返さないファッションが流行したのです。

法被と半纏の違い

半纏(はんてん)とは、江戸時代に一般庶民の間で着用され始めた防寒着のことです。中に綿を詰めた
綿入れ半纏は現代でも愛用されているため、知っている方も多いでしょう。
従来、半纏は袖の丈が法被より半分しかないことから、「半丁(はんてん)」と名付けられました。
しかし、「丁」の代わりに「纏」の字が足されて「半纏」と書かれるようになったのです。
綿入れ半纏以外にも消防半纏や職人半纏、祭り半纏など、さまざまな種類があります。もともと、
法被と半纏は微妙に区別されていましたが、用途に違いはありませんでした。
しかし、江戸時代後期になって、法被と半纏はほとんど区別されなくなっています。
現代においても同様で、法被と半纏はほぼ同じものとして認識されているのが現状です。

法被の種類は2タイプ 

法被の種類は、長半纏と短半纏の2種類があります。長半纏と短半纏の違いは、丈の長さです。
長半纏はひざ丈までの長さで、短半纏はお尻が隠れる程度の長さがあります。丈の長さ以外にもそれぞれ
異なる点があるので、違いを確認して自分に適したものを選びましょう。

1.膝丈まで長さがある「長法被」

短半纏と比べると、着丈が長いものが長法被です。長半纏は、大工の棟梁が着用していたことから威厳を
感じさせる着こなしが完成するため、お祭りを仕切る応援団や年配に好まれています。
また、よさこい祭りやダンスなど体を動かすイベントでも、長法被が着用される機会が多いでしょう。
丈が長い長法被は動くたびに裾が大きく舞い、ダイナミックな表現を演出できるのも魅力です。
長法被の丈の長さは100〜120cmほどで、袖ありと袖なしのものがあるため、参加するイベントに応じて
自由に選べます。長法被に用いられる素材は、シャークスキンや天竺、タッサーブロード、Gポプリンなど
さまざまです。

2.お尻が隠れる丈の「短法被」

もっとも一般的な法被は、短法被です。丈が短いこともあり、動きやすいといった特徴があるため、
厳格な祭りからカジュアルなイベントまでさまざまな用途に幅広く使用されています。
取り外し可能な飾り袖の法被を選べば、用途の幅を広げられるでしょう。法被の丈の長さは
80〜100cmが一般的です。お祭りやイベントに参加する機会が多いなら、短法被を1着持っておくと
大活躍してくれるでしょう。

まとめ

法被の由来は、皇族や公家の正装である束帯を着るときの下着です。法被が誕生したのは、江戸時代後期で
身分が高い武家だけが着用するものでした。
しかし、時代の流れとともに法被をもとにした新しい着こなし方が一般庶民の間で広がり、現代の法被に
繋がっています。法被といっても長法被や短法被があるので、状況に応じて適したものを選びましょう。