2022.04.07

基礎知識

法被の部位の名称を解説!オーダー時に知っておきたい紋の名称もご紹介

法被の部位の名称を解説!オーダー時に知っておきたい紋の名称もご紹介

法被をオーダーするときは、部位の名称について知っておく必要があります。
また、紋の位置や名称も知っておくと、さらに自分好みの法被をオーダーしやすくなるでしょう。
ぜひ参考にして、素敵な法被を仕上げてください。

法被の部位の名称 

法被の部位は、大きく次の3つに分けられます。

  • 身頃(みごろ)
  • 袖(そで)
  • 衿(えり)

よさこい踊りの際に着用する「よさこい法被」には、上記の3つの部位に加えて次の部位もあります。

衽(おくみ)

それぞれの部位について、詳しく見ていきましょう

身頃(みごろ) 

身頃(みごろ)とは、袖(そで)と衿(えり)を除いた広い部分のことです。
身体の前面を覆う身頃は「前身頃(まえみごろ)」、背中を覆う身頃は「後ろ身頃(うしろみごろ)」
と呼び分けることもあります。

身頃のサイズによって法被のサイズが決まるので、身体に合わせて適切な大きさに調整することが必要
です。また、身頃のサイズによってファッション性も変わります。

袖(そで) 

袖(そで)とは、腕を覆う部分のことです。袖と身頃がつながる部分を「袖付け(そでつけ)」、
手首にあたる袖の端を「袖口(そでぐち)」と呼びます。袖付けから袖口までの長さは
「袖幅(そではば)」です。袖幅で法被の袖部分の長さが決まるので、
身体に合わせて調整する必要があります。

なお、一般的な着物では袖口から垂れ下がった袂(たもと)がありますが、法被は袂部分がありません。
袖口から袖付けまでが筒のように真っすぐなため、筒袖(つつそで)と呼ばれます。

衿(えり) 

衿(えり)とは、首回りから胸元につながる細長い部分のことです。
腹部あたりに来る衿の端を「衿先(えりさき)」、首回りの汚れやすい部分に重ねた衿のことを
「掛け衿(かけえり)」と呼びます。掛け衿は、「共衿(ともえり)」や「上衿(うわえり)」
と呼ばれることも多いです。

ところで、「えり」の漢字は衿だけではありません。「襟(えり)」という漢字を用いることもあります。
明確な使い分けはありませんが、和服では「衿」、洋服では「襟」の漢字を用いることが一般的です。

衽(おくみ) 

衽(おくみ)とは、前身頃に付ける布で、衿先の下あたりに相当します。
衽は着物を着用したときに身体の前で重なる部分のため、前身頃を重ねずに羽織るように着用する法被
には付けないことが一般的です。

ただし、よさこい法被など、法被であっても前身頃を重ねて着用する場合には、前身頃に衽を縫い付けます。
衽は通常は半幅ですが、身体に合わせて調整することも可能です。

法被のデザインの部位別名称 

法被は、紋や文字、柄などを入れてオリジナリティを出すことがあります。法被をオーダーするときは、
どこにどんな紋や文字を入れるか細かく指定するので、デザインを入れる部位別の名称も覚えておきましょう。

一般的に法被のデザインは、次の5つの部位に入れます。

  • 衿字(えりじ)
  • 腰柄(こしがら)
  • 大紋(だいもん)
  • 控紋(ひかえもん)
  • 天柱紋(ちりけもん)

それぞれの部位の位置や特徴について解説します。

衿字(えりじ) 

衿字(えりじ)とは、胸元あたりの衿に入れる文字のことです。
法被には紋や文字、柄を入れることができますが、その中でも文字を入れられるのは通常は衿だけなので、
何か言葉を入れたいときは衿字を検討してみましょう。

例えば、学校や会社、グループなどの団体名、お祭りをするときであればお祭りの名前や町名なども
入れることができます。イベントに法被を用いるときであれば、イベント名なども衿字に入れること
ができるでしょう。

衿字を際立たせるために、衿の色を黒、衿字を白くすることが少なくありません。
また、法被は和服の一種なので、和のテイストを感じさせる楷書体や行書体を選ぶケースが多いです。

ただし、衿字は衿の前身頃の部分だけに入れるので、あまりにも字数が多いとすべて印字できない
可能性があります。オーダーする業者によっても最大文字数は異なるので、事前に確認しておきましょう。

腰柄(こしがら)

腰柄(こしがら)とは、腰あたりの部分に柄を入れることです。
前身頃から後ろ身頃にかけて、腰部分を囲むようにデザインを入れます。

二色の正方形が互い違いに位置するように規則的に並べた「市松模様」や、涼し気かつ豪快な印象の
「波柄」、角部分に小さなくぼみのある四角形が鎖のように連なった「吉原」など、腰柄に用いるデザインは豊富です。
また、魚のうろこのように半円が規則的に重なった「青海波(せいかいは)」や、太線が2本入るだけの
シンプルな「二引き」なども用いられることがあります。

なお、法被に柄を入れるときは、腰の周りの腰柄だけが一般的です。
しかし、あまり多くはありませんが、柄を法被全体に入れる「総柄(そうがら)」をオーダーするケースもあります。
総柄の法被を作りたい方は、業者側が総柄の注文に対応しているか確認しておきましょう。

大紋(だいもん)・控紋(ひかえもん)・天柱紋(ちりけもん)

大紋(だいもん)とは、後ろ身頃の中央部分に大きく入れる紋のことです。
背中の真ん中にあたるので人目を引きます。

なお、大紋には「祭」などの漢字を1つ、あるいは家紋やロゴなどをシンプルに入れることが一般的です。
しかし、イベント名などを入れられることもあるので、オーダーする際に相談してみましょう。

控紋(ひかえもん)とは、前身頃の左右の胸元に入れる紋のことです。
通常は、大紋と同じ漢字や家紋、ロゴなどを少し小さめのサイズで入れます。
小さなサイズでも2つ入れるため、インパクトは大きいです。

天柱紋(ちりけもん)とは、衿の後ろ中心部分に入れる紋のことです。
控紋と同じデザインで、さらに小さくしたものを入れます。天柱紋はサイズは小さいですが、首の真後ろの
場所にあたるためインパクトがあり、粋な雰囲気に仕上がる点が特徴です。

まとめ

法被はわずか3つの部位でできているシンプルな和服です。
また、5つのデザインを入れる部分の名称を覚えておくと、法被のオーダーがしやすくなります。

ぜひ部位やデザインの名称を理解し、より法被を身近なものに感じていきましょう。