2020.12.15

基礎知識

オリジナルワッペンのオンライン販売は著作権に注意!上手なデザイン素材の探し方とは?

オリジナルワッペンのオンライン販売は著作権に注意!上手なデザイン素材の探し方とは?

小さくても存在感抜群なファッションアイテム、ワッペン。センスを活かしたオリジナルワッペンを
制作し、オンラインで販売したいと考える人も少なくないのではないでしょうか。
今回は、オリジナルワッペンのオンライン販売を検討中であれば知っておきたい著作権や商標権、
肖像権について解説します。
著作権を侵害しないワッペン作りのポイントや安心して使えるデザイン素材の探し方もご紹介します
ので、ぜひ参考にしてください。

1.オリジナルワッペンの販売で気を付けたい「著作権(版権)」とは?

オリジナルワッペンを作って販売する際に気を付けたいのが「著作権(版権)」です。まずは著作権の
概要について見ていきましょう。

著作権(版権)とは

著作権とは、著作物(創作物)を保護するためのもので、著作物を複製したり販売したりできる独占権の
ことです。
1999年の法改正以前は著作権を「版権」と呼んでいた名残りで、今日でもアパレル業界などでは「版権」
と慣用的に使用されています。

著作権侵害に当たるもの

著作物は、著作者の感情やアイディアを言葉や形、音楽などで独自に表現した作品のことで、著作者に
無断で使用すれば著作権侵害にあたります。
ワッペンのモチーフでよく用いられる以下の創作物も、無断で使えば著作権侵害に当たります。

  • 既存のキャラクター
  • 特定の団体のマーク
  • 他人が撮影した写真

子供のネームタグにする、ユニフォームにお揃いで付けるなど、個人利用や学校行事用でも無断使用は
NGです。作者や権利者にあらかじめ許可を取った上で使用するか、完全にオリジナルでデザインしなく
てはなりません。著名人の作品に限らず、一般人のハンドメイド作品であっても著作権の対象になるので
注意しましょう。
著作権を侵害した場合、民事上の請求や、刑事上の罰則(懲役・罰金)を受ける可能性があります。

2.ロゴやキャラクターのワッペンにも注意!商標権と肖像権

ロゴやキャラクターを配したオリジナルワッペンを販売する際には、著作権以外にも商標権、肖像権に
注意が必要です。

商標権(商品やロゴなど)

商品パッケージにプリントされているマークやブランドロゴなどには、企業が登録する「商標権」
があります。
商標権とは、マークやロゴなどの商標を保護する権利で、商標登録されたものを無断で使いワッペンを
販売すれば、商標法に基づく刑事罰(10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金)が科される
可能性があります。
企業・ブランドのロゴやキャラクターは、基本的にワッペンには使えないと覚えておきましょう。

肖像権(すべての人物)

肖像権は、自分の容姿をみだりに撮影・公表などされないようにする権利で、著名人だけに限らず、
人は誰でも肖像権を持っています。本人の許可なくその人の写真や似顔絵をワッペンに使えば、
肖像権侵害に当たります。
動物には肖像権はありませんが、その動物の写真を撮影したりイラストを描いたりした人物に著作権が
ありますので要注意です。
違反すれば、刑事罰こそないものの、損害賠償金や慰謝料の請求が考えられます。

3.著作権に触れないオリジナルワッペンをデザインする方法

著作権を侵害することなくオリジナルワッペンをデザインするには、どういった点に配慮すればよいで
しょうか。

すべての物に著作権があると知っておく

著作権は、著作物の創作時点で自動的に成立し、登録手続きなどは必要ありません。著作権表示に
使われるコピーライトマーク(大文字のCをまるで囲んだもの)の表示有無にかかわらず、
SNSやネット上の画像、ロゴなど、すべてのものに著作権があるということです。
フリー素材であっても利用規約があるのが一般的です。
無断使用しても構わない既存デザインは一つもないという意識を持ちましょう。

使用許可を取り利用目的以外で使用しない

著作物を使用する場合は、著作権者(あるいは管理者)に使用許可を願い出て利用目的を詳しく伝え、
その目的以外での使用は絶対に避けてください。
個人で作成・販売しているゲームアプリのキャラクターや、Web漫画のロゴなども、もちろん著作権が
あります。
有名じゃないから大丈夫とは考えず、必ずワッペンに使用していいか、販売しても問題ないか
確認しましょう。
ブランド普及のためにあえて著作権使用料を無料にしたり、使用可能範囲を広げたりするなど、積極的に
使用を許可する企業もありますが、少しでも不明点があれば著作権者に確認しておくと安心です。

無断でパロディやオマージュはしない

著作物を無断で改変すること、一部改変したデザインを使用することも著作権侵害となります。
例えば、スカル系デザインや動物のキャラクターをサバゲ―パッチ用に改変するといったこともNGです。
パロディやオマージュで使用したい場合にも、改変したいと伝えた上で使用許可を取るようにしましょう。

4.オリジナルワッペンのデザイン素材をネットで上手く探す方法

すべてのものに著作権があるなら、既存デザインを利用したい場合はどうすればいいのでしょうか?
最後に、ワッペン販売で自由に使えるデザイン素材をネットで上手に探すコツをご紹介します。

フリー素材サイト

まずおすすめしたいのが、商業利用OKの写真やイラストを集めたフリー素材サイトの利用です。
刺繍ワッペンに使いやすいポップなイラストが多いサイト、プリントワッペンに適した色鮮やかな写真が
豊富なサイトなど、サイトごとに個性があり、無料で高品質な素材も少なくありません。
ただし、フリー素材であっても利用条件を守らなければ著作権侵害になるため、利用規約にはきちんと
目を通しましょう。利用条件や購入費用を遵守することが大切です。

パブリックドメイン(PD)

著作権には一定の保護期間が定められており、著作者の死後(著作物によっては創作後や公表後)
70年が経過すると著作権が消滅し、誰でも自由に利用できる「パブリックドメイン(PD)」になります。
著作権の縛りがなく、ワッペンのデザインに使用するのも自由です。
PDをうまく利用すれば、和柄ワッペンに江戸時代の版画を参考にする、北欧デザインのワッペンで
1800年代のアンティークをモチーフにするといったことができます。
注意点として、著作者の人格を保護する「著作人格権」は存続しますので、創作者の人格を否定・中傷
するような改変は認められません。

クリエイティブ・コモンズ(CC)

一定の条件を守る限り自由に利用できるフリーライセンス素材が「クリエイティブ・コモンズ(CC)」
です。
そのうち制約が一切ないライセンスを特に「クリエイティブ・コモンズ・ゼロ(CC0)」と呼びます。
CC0ははじめから著作権も著作人格権もともに放棄されていますので、あらゆる意味で安全と
いえるでしょう。
クリエイターが自身の作品を普及させる目的で提供しているケースが多いため、クオリティの高い
作品が多く、利用価値が高いといえます。
ライセンスを気にする必要がないため、ワッペン販売まで時間がなく急いでいる時に便利です。

5.まとめ

イラストや写真などには著作権が、ブランドロゴやマークなどにはそれに加えて商標権が、人物写真や
似顔絵には肖像権が関わってきます。既存デザインをワッペンに使いたいときは、必ず権利者の許可を
得るようにしましょう。
フリー素材やパブリックドメインなら著作権面での心配は少なくなり、CC0であれば一切の制約なく利用
できて安心です。