2022.02.24

基礎知識

法被の襟について知っておきたい豆知識!襟替えのタイミングもご紹介

法被の襟について知っておきたい豆知識!襟替えのタイミングもご紹介

法被の襟について知っておきたい豆知識を集めました。どんな字を入れることができるのか、また、合わせ
方や歴史などについてもご紹介します。どのようなシチュエーションで襟替えが必要になるのかについても
解説するので、長持ちさせるためにも参考にしてください。

法被の襟について知っておきたい3つの知識

法被は襟が印象的な羽織りものの一種です。黒などの濃い色でできていることが多く、お祭りやイベント
などでは団体名などを染め抜いて、より印象的に仕上げます。

法被の襟について知っておきたい豆知識を3つ集めました。ぜひ覚えて、法被の襟について詳しくなりましょう。

  • 江戸初期は襟を返して着用していた
  • 屋号などを入れることができる
  • 右前に合わせる

それぞれについて詳しく解説します。

江戸初期は襟を返して着用していた

法被は元々は武家が着用していた衣類でした。家紋を染め抜き、通常の着物の上に羽織って着用していた
ようです。
法被が誕生した江戸初期には、胸には胸紐がつき、襟を返して着用することが一般的でした。
江戸時代は身分によって着用するものも異なったので、法被は武家のみ、商人や職人などの町人は法被の
着用が禁じられていたようです。
そこで町人たちは、法被をあえて襟を返さずに着ることで、武家とは異なる着こなしを実現し、自分たちの
ものにしていきました。現在でも法被は襟を返さずにシンプルに着用するので、町人たちの文化を継承
していると考えられるでしょう。

屋号などを入れることができる

法被をオーダーで作るときには、襟に屋号などの文字を入れることができます。例えば、お祭り用の法被を
作るのであればお祭りの名前や町名、よさこいなどを踊るときならチーム名、会社のイベントで法被を作る
のであれば社名などを入れることができるでしょう。
色は特に決まりはありませんが、黒襟であれば、白で文字を入れるとくっきりと際立ちます。楷書や行書
などのすっきりとした書体で、格好よく仕上げましょう。

襟字と天柱紋(ちりけもん)

法被の襟は、2つの場所に文字を入れることができます。まずは襟字(えりじ)です。
襟字とは襟の前部分で、首の付け根から腹部あたりまで縦長に文字を入れることができます。スペースが
広いので、チーム名や団体名が長い場合でも大抵は襟字として入れられるでしょう。
2つ目は、天柱紋(ちりけもん)です。これは法被の後ろ襟の中心部分で、首の後ろにあたる場所を
指します。文字を入れることもできますが、家紋などの紋を1つすっきりと入れるのもおしゃれです。

右前に合わせる

法被は、襟を合わせずにそのまま羽織るように着ることができます。しかし、帯を締めるときは、
右前(みぎまえ)に合わせて着用しましょう。
右前に合わせるとは、右身ごろを左身ごろに重ねる着方のことです。左身ごろのほうが前に出ていますが、
右前と呼ぶので注意しましょう。右前の「前」とは位置的に前という意味ではなく、時間的に前という
]意味です。つまり、右身ごろを先に身体に合わせてから後で左身ごろを身体に合わせるので、
右前と呼びます。

法被の襟替えが必要になるシチュエーション

法被は襟部分だけを替えることができる衣服です。襟部分を新しいものに替えることを
「襟替え(えりかえ)」と呼び、次のようなシチュエーションで実施されます。

  • 会や店の名前が変わった
  • 会や店の名前を入れたい
  • 汚れた、古くなった

それぞれ具体的にどのようなシチュエーションなのか、詳しく見ていきましょう。

会や店の名前が変わった

法被の襟には、団体名や町名、社名などを入れることがあります。例えば、町が合併して名前が変わった
とき、あるいは商店街や会社の名前が変わったときなどは、新しく法被を作るのも良いですが、
特に古びていないのであれば襟だけを替えて新しくすることができるでしょう。法被の本体部分が無駄に
ならないので、物を大切にしたい方にもおすすめです。

会や店の名前を入れたい 

法被は、団体名などを入れずに作ることもあります。団体ではあるけれども特別な名称がない場合や、
イベントまで時間があまりなく、オーダーで法被を作れなかった場合などは、名前の入っていない襟の
法被を着ることもあるでしょう。
後になって団体名や社名などを襟に入れるときは、新しくオーダーで法被を作るのも良いですが、名前が
入った襟に替える方法もあります。ばらばらの法被に襟字や天柱紋だけおそろいというのも、おしゃれで
素敵な合わせ方といえるでしょう。

汚れた、古くなった

襟の部分は素肌に触れるので、身ごろや袖と比べるとすぐに汚れてしまうことがあります。何度も洗濯を
していると襟の色が薄くなり、見栄えが悪くなることもあるでしょう。
身ごろや袖も汚れたときなどは法被を新調するのも良いですが、襟部分だけ汚れたときや
古くなったときは、襟替えをすることで見栄えを良くしてみてはいかがでしょうか。
襟を新しくするだけで、法被全体がすっきりと粋に見えるでしょう。

法被の襟を替える方法

 

法被の襟替えは、業者に依頼する方法と自分でする方法の2つがあります。

業者に依頼する場合には、襟替えを実施しているかどうかを事前に確認しておきましょう。
法被の制作に対応している業者でも、襟替えは引き受けていない可能性があります。見本となる法被が
あるときは、襟替えをする前に業者に見せると、イメージ違いを防げるでしょう。
自分で襟替えをするときは、次の手順で実施します。

1.200cm×15cm程度の襟用の布を用意する


2.古い襟と身ごろの間の糸をほどき、古い襟を取る

3.古い襟を見本として襟用の布を幅5.5cmほどに細長く折り、身ごろを挟む

4.挟んだ部分を縫い目が目立たないようにかがり縫いする

法被の襟は粋の証!美しさを維持しよう

 

法被の襟がすっきりと美しいと、粋な印象を与えます。襟を意識して上手に着こなし、粋でおしゃれに
仕上げましょう。
襟が汚れたときや会の名前が変わったとき、会の名前を入れたいときなどは、襟替えをすることで
身ごろや袖を活かすことができます。大切な法被を長持ちさせるためにも、適度なタイミングで襟替えを
するようにしましょう。