2022.03.03
基礎知識
印半纏とは?印の名称や正しい取り扱い方法について解説
印半纏(しるしばんてん)とは、屋号や家紋などを染めた半纏(はんてん)のことです。主に職人やお店を
経営している人、お祭りなどで着用し、どの団体に所属しているのかがわかりやすくなります。
この記事では、印半纏の基礎知識や印の名称について解説します。正しい取り扱い方法をあわせて確認しましょう。
印半纏とは家紋などを染めた半纏のこと
印半纏とは、背中や襟、腰回りなどに家紋や屋号などを染めた半纏のことです。もともと印半纏は、
江戸時代に字の読めない人でも、誰がどこに所属しているのかを印半纏のデザインで判断していたのが
由来とされています。
つまり、印半纏の印は単なるデザインではなく、自分を表す印として活用していたのが始まりです。
ちなみに、お祭りでよく着ている法被は、厳密にいうと法被ではなく印半纏になります。
印半纏に記載される印の名称や位置
印半纏に記載される印の名称は、印刷する部位によって異なります。ここでは、印半纏に印刷されている
印の名称をチェックしましょう。
印刷する部分によって印の名称が異なる
印半纏は、印刷する部分によって印の名称が以下のように異なります。
- 襟もと:衿字(えりじ)
- 胸元:控紋(ひかえもん)
- 腰元:腰柄(こしがら)
- 首の後ろ:天柱紋(ちりけもん)
- 背中:大紋(だいもん)
ほかにも、肩から袖口にかけて描かれた柄は、袖繋ぎ(そでつなぎ)と呼びます。なかでも、大紋は
背中に大きく描かれていることもあり、自分の位置を示す標識ともいえるでしょう。
全体的に印を施した印半纏もある
印半纏の中には、全体的に印を施した「総柄(そうがら)」があります。主にネズ引き染めで
作られています。
ネズ引き染めとは下染めのことで、藍色の良さを引き出すために使用される技法です。
ネズ引き染めの「ネズ」とは、ネズミ色という意味で、染料に豆乳などを使用するケースもあります。
また、総柄は昔ながらの古典的なデザインや、熨斗や桜といった縁起の良いデザインが主流です。
H2:印半纏の正しい取り扱い方法
ここでは、印半纏の正しい取り扱い方法を紹介します。
洗濯の仕方
印半纏の洗濯方法は、以下のとおりです。
1.桶(たらい)にぬるま湯を溜める
2.少量の中性洗剤を入れて、印半纏を浸す
3.押し洗いをする
4.中性洗剤の入ったぬるま湯を流し、きれいな水を溜める
5.押し洗いするようにすすぎを2~3回繰り返す
6.軽く脱水機にかける
7.印半纏を裏返して、日の当たらない場所で干す
印半纏は、色移りや変色がしやすいため、洗濯する際には取り扱いに注意しましょう。
保管の仕方
印半纏を保管する際は、よく乾燥させてからきれいに畳んでタンスに収納しましょう。湿気の多い場所で
保管すると、たとえ日光に当たっていなくても色焼けの原因になります。
そのため、印半纏を洗濯した後は、よく乾燥させて黒色のゴミ袋に入れて収納するのがおすすめです。
黒い袋に入れて収納すれば紫外線をカットでき、きれいな状態で保管できます。
まとめ
印半纏とは、背中や襟などに屋号や家紋などを染めた半纏のことです。字が読めない人でも、どこの組織に
属しているのかを判断するために使用していたのが始まりです。
印半纏の印は、印刷されている場所によって名称が異なります。また、印半纏を良い状態で長く着続ける
ためには、洗濯方法や保管方法に注意しなければいけません。きれいな状態をキープしながら、印半纏を
楽しみましょう。
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