2021.02.02

基礎知識

オリジナル作業着の生地は用途と性能で選ぼう!生地の種類や適した現場とは?

オリジナル作業着の生地は用途と性能で選ぼう!生地の種類や適した現場とは?

オリジナル作業着の製作では、まずはじめに使用する生地選びから始めていきます。
作業着向けの生地には多くの種類があり、その特性もさまざま。作業着に求められる機能性は現場に
よって違いますので、一概におすすめというものはありません。
今回は、オリジナル作業着に使われる生地の選び方、作業着用生地の種類とそれぞれの特長や
向いている現場、オリジナル作業着製作に欠かせない快適性への配慮についてご紹介します。

1.オリジナル作業着の生地は用途・性能で選ぶ

作業着に使われる生地の主流は、ポリエステルと綿の混紡です。「ストレッチ性を持たせたい」
「耐火性を高めたい」といった用途や目的によりその混率
(どの素材がどのくらい使われているかの比率)は変わってきます。
また、帯電防止、防汚・防臭、撥油、抗菌・制菌、難燃、吸汗・速乾など現場ごとに求められる
機能性を付加するために、ポリエステルと綿というベース素材の上からさまざまな加工が施されている
ことも一般的です。
工夫をこらし性能を高めた生地を使用した作業着が各メーカーで生産されていますので、
現場に適したものを選びましょう。

2. 作業着の生地の種類とおすすめの現場

作業着に使用される生地にはどのような種類があり、それぞれどういった現場に向いているの
でしょうか。

ストレッチ素材(ポリエステル+綿)

ポリエステルを原料としたストレッチ繊維を使用した、伸縮性の高い生地です。
高機能繊維が用いられているものもあります。
よく伸び縮みするので非常に動きやすく、肩周りや腕周りなども突っ張らず楽で、身体への負担も
少なくなるのが特長です。
建築現場のように体勢をさまざまに変えながら作業を行うような現場、長時間着用するようなケースに
適した素材といえるでしょう。

抗菌・防臭素材(ポリエステル綿)

汗や汚れが原因となって発生する菌や、そこから生じる匂いを抑えるよう、銀イオンなどで加工を
施した生地です。
清潔で衛生的な作業着は、食品を取り扱う職種で便利なほか、接客を伴う営業職などにおいても
取引先や顧客に対する印象を良くすることができ、大変効果的といえるでしょう。

低発塵素材(ポリエステル100%他)

繊維の脱落によってホコリや糸くずを発生させないよう、毛羽立ちを抑える加工を施した長繊維であり、
外部からの塵やホコリの吸着を防ぐ加工が施された生地です。
半導体工場や光学機器・精密機器工場、薬品工場など、ほんのわずかな塵やホコリの付着や混入が
不良や誤作動の原因となるような現場では、低発塵素材を使った作業着の導入が欠かせません。

帯電防止素材(ポリエステル+綿)

静電気を帯びないように導電性繊維を用いて作られた、ポリエステルの混率の高い生地です。
静電気の発生が火災や爆発につながりかねない特定の職場(可燃性の薬品やガソリンなどを扱う現場)
では、JIST8118に適合する帯電防止作業着の着用が労働安全衛生規制により義務付けられています。
同規格に適合し帯電電荷量が一定の基準以下となるような作業服には、帯電防止機能を持った生地が
利用されるほか、表面に露出する部分には金属製付属品(ファスナー、ボタン)が用いられません。
帯電防止素材を使用した作業服は、静電気によるホコリの付着が製品品質に影響を与える医薬品や
精密機器などの製造現場でも威力を発揮します。

防汚・撥油素材(ポリエステル+綿またはポリエステル100%)

油などの汚れが付きにくく、付着したときにも洗濯すれば簡単に落ちるような加工を施した生地です。
油汚れが多くなる自動車整備工場などでの使用が想定されていることから、火災リスクを考慮した
帯電防止加工も併せて施されている場合が多いです。
きれいな状態を保ちやすいという特性が着目され、お客様へのイメージ向上のために、接客の機会が
多い職種での作業服に利用されるケースもあります。

難燃素材(ポリエステル・綿・ビニロン・エスタミドなど)

万一火が移った場合にも燃え広がりにくい素材、溶解しにくい素材を使用した生地です。繊維自体に
難燃性の高いものを用いるほか、難燃性の溶剤を付着させる防災加工を施したものもあります。
火花が飛ぶ溶接作業や、作業着が溶けてしまうほどの高温となるような高炉前での作業が伴う現場向け
の作業着に主に使われます。
難燃素材は炎や熱に対して強いだけでなく、耐薬品性や耐摩耗性においても優れている場合が多く、
総合的に見て非常に強度の高い素材といえます。

3.オリジナル作業着は快適性も大切に

作業着は作業時間中ずっと着用する衣類ですので、着用者の作業効率にも影響してきます。
オリジナル作業着を製作する際には、その機能性だけでなく快適性にも気を配りましょう。
蒸し暑い夏場や、動きが多く汗ばみやすい現場では、通気性や吸汗・速乾性能が重要です。
一方、冷え込む冬場や、冷蔵倉庫内での作業が発生するような現場では、保温・保湿性能が
欠かせません。ほとんどの業者では、春夏用生地と秋冬用生地を用意しています。
いつ、どういった現場で着用する作業着なのかを業者に伝えて相談することで、最適な生地を
提案してもらえるでしょう。

4. まとめ

作業着に使われる生地には、さまざまな機能性が付加されたものがあります。
快適で安全、効率的な作業のためには、各現場で求められる機能性を見極め、そうした機能を持った
素材を選ぶのが大切です。
作業着に用いられる機能性素材の種類には、
ストレッチ素材、抗菌・防臭素材、低発塵素材、帯電防止素材、防汚・撥油素材、難燃素材
などがあります。
また、こうした実用面での機能性のほか、着用者が快適に作業できるような快適性も、作業着の見逃せ
ないポイントです。季節のほか、運動量の多さや作業現場の室温などによっても素材を使い分けましょう。
より高い快適性を求め、業者と相談の上で最適な素材を使用したオリジナル作業着を製作すれば、
作業効率にも良い影響があるはずです。